Ciao! (=´ー`)ノ⌒♪私自身あるいは困難な存在

■TMNETWORKとXJAPANが日々の糧εεε=(*ノ▽ノ)な佐野瑞希です、こんにちは。■音楽と、広範囲な意味での文学について綴っています。■現在は、一連の創作シリーズ『夢想と薔薇の日々』の更新がメインになっています。「おもしろかったー!」と思っていただける一日があれば幸いです。  ───遠い記憶をたぐり寄せると、どこまで遡っても自分の感性や思考のしかたが変わっていないなあと感じざるを得ない今日この頃。春、桜舞い散る日に。(2015.04.12改稿)

SEX

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夢想と薔薇の日々<anniversary/ いのちの初夜 〜幻のお誕生日企画①〜>後編

『夢想と薔薇の日々(Days of Rêverie and Roses)』は、あくまでもフィクションであり、実在する人物や事件とは一切無関係です。「夢想」は個人が有する自由な権利ですが、現実は現実としてきちんと区別なさったうえでお読みください。くれぐれも混同されないよう、よろしくお願いいたします。尚、当ブログ内の文章や作品の、無断転載・引用・コピーを固くお断りいたします。

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…ヨシキ。


トシに呼ばれて、ますます緊張して体がこわばった。

───来た〜〜〜!!!


おれ恥ずかしくて下を向いてたんだけど、返事しないわけにいかないから、「うん、、、」って言おうとした。

なのにね。

気が付いたら、もうトシの顔が目の前にあったの。
かがんで、こっち見てたんだよね。


…大丈夫?

「う、うん。だいじょぶだよ///」


それを聞き届けて安心したのかな。
トシは、おれの前髪をかき上げながら目線を合わせて、にっこり笑った。


…あらためて。お誕生日おめでとう♡

「あり、が、と、、、」


言うか言わないかの間に、口をトシの唇でふさがれた。


「あ…っ」

「ト…シ……っ!」


びっくりしたよ。

でもね。
こういうときって、おれ、マジックがかかってると思う。
次に何がやって来るか、なんとなくわかってしまう。

ほぼ、キス、したまま。
トシはおれの体を倒して、ベッドに沈めた。


きっとそうなるって、おれはわかってたから、だから、されるままになってたよ。
緊張してた分、準備もできてたっていうか。

トシは、ちょっと遠くにずれてた枕をおれの頭の下に引き寄せてくれた。
なんかそうゆう小さい気遣いが、すんごいうれしかったな〜♡


トシの体はすでに、おれにしっかり被さってたんだけど、そのトシが、わざわざおれの頭をぎゅーっと抱え込むみたいにして、言った。


…もう、、、いい……?

「…うん」

…我慢、できない。

「うん。。。」


トシが何のことを言ってるのか、当然見当はついたから。



トシは、おれの耳をそっと噛んだ。
おれは、きゅっと目を閉じた。
それから、トシは首筋に沿ってずっとキスをくれた。
それだけで、カラダがぽゎーっとなっちゃって、もしかしたらおれ熱出てるんじゃないかな?と思ったくらい。


「あ…っ!トシ。。。」

…え。……ん?何?

「ん、、、ん〜ん/////なんでもないっ」


肩のところで響いたトシの声は、落ち着いてて低かった。
それを聴いて、覚悟が決まった。
もうみんな任せようって、思ったんだ。





· · • • • ✤ • • • · ·



いつまでも終わらないかと思うようなキスが続いてた。
トシの息づかいと、何度もねじ込まれて絡んでくる舌と、たま〜におれの唇を噛むいたずらな歯と、すべてが甘くって……。
夢みたいだな〜♡


トシはその勢いのまんま、おれのカラダを愛撫し始めた。
手と舌と唇と、、、あっちこっち使って。
おれの胸とかお腹とか腰とか、背中や脇の下まで。
股の内側、脇腹、そんなおれの急所も、トシはちゃんとわかってて。


あのね、素朴な疑問なんだけど、トシっておれの胸、好きなのかな?
魅力、感じるのかな?
女の人と比べたら、ふくらみも乳首もあまりに足りないのに、こんなんで満足できるのフシギに思っちゃう。
おれ、いつも申し訳ないような、変な気分になるんだよね。
トシは……、本来、女も抱けるからね……。


まぁ。
そんな疑問は置いといて、おれはもう完全に参っちゃってた。
トシの触れた至るところが火照って、どうしようもない。
重なってるカラダ同士ね、うん、トシの体もめちゃめちゃ熱っぽかったよ。

その熱に浮かされながら、おれは、何度も目をしっかり開けて、トシの顔を見ようとした。
ありがとうって伝えたかったんだ。
だって、やさしくしてもらえて、すごくすごくうれしかったんだもの。
けど、どうしてもうまく目を開けれなかった。
喘ぎながら「トシ…!」って叫ぶのがやっとだった。


…ヨシキ、愛してるよ。

…好きだよ。

…ヨシキ?気持ちいい?


そんなトシの言葉に、必死で「うん!」「うん!」って応えるだけ。
あとはもう、訳のわからない絶叫をくり返すばっかり。
興奮して心臓がドクンドクンしてるのが、耳の内側から聞こえた。
もう、ありがとうなんて、伝えるどころじゃなかった。





· · • • • ✤ • • • · ·




我慢できないって言ったわりに、トシはなかなか挿入はしてこなかった。


おれはおれを全部トシにあげたいと思ったのに、実際は、トシがトシをおれに全部くれちゃってるみたいだった。


え?
意味わかんないって?

んと、つまり……尽くしたいと思ってるのはおれの方なのに、現実はトシの方がおれに尽くしてるみたい……、って言ったらわかる?

うん。
なんか、そんなふうなんだよ。
おれは、ただ、トシのくれる快感に、身を委ねてるだけだった。
夢中で。


トシはね、すごく、おれの体を愛してくれたんだ。
慈しんでくれたっていうか。
それが目的だったのか、それとも前戯のつもりだったのかは、知らないけど。


「と、し……、、」


快感の波が次から次へと押し寄せて、どうにかなっちゃいそうだった。
トシの背中や腕に、いっぱい引っかき傷つくっちゃったかな。


「トシ、、」


はぁ、はぁ、っていう激しい呼吸の合間に名前を呼ぶ。



…なに?

「トシ…っ」

…聴こえてるよ。

「も、もう……挿入れて、いいから……ッ」

…ヨシキ、もうイきたい?


顔が更に、カーーーッと赤面する。


「ちが…ッ、おれじゃなくて、トシ!」

…俺?

「トシもキモチよく、な…って、、、」


トシはクスクスって笑った。
余裕こいててズルいな。


…入っていいの?

「う…ん……。」

…んじゃ、遠慮なく。


遠慮なくって言ったくせに、トシは遠慮しいしい突っ込んできた。


「ん…ッ///」

…平気?だいじょうぶ? 

「へ、いき……っ!」

…沈むぞ?

「うん……、奥まで来て!もっと、奥だよ!/////」

…ダイジョブかな。

「あ…ッ!ん、あああ……!!」

…ヨシキ?

「い…いいからぁッ!」


カラダの中が、トシでいっぱいになった。
その瞬間、おれギャーギャー泣いちゃってさ。
きっと、やっとひとつになれたんだって思ったら、感極まっちゃったんだよね。

おれが泣いたからかもしれない。
トシは、しばらく動かないで、静かに抱いててくれた。


…平気?

「うん。。」


涙でグショグショになったおれの顔を、トシの手が包んでくれた。
おれも、ようやくまともにトシの顔を見れるようになって、「ダイジョブ…」って答えた。


…今日はヨシキの誕生日なんだから。ムリしちゃだめだよ。

「無理なんてしてない!」

…最後までヤらなくたっていいんだよ、こんなの。別に。

「けど!おれがキモチいいなら、トシも同んなじがいいもん


トシはふふ、って笑った。


…ありがとう///よし!動くよ?

「うん」


もう一度、固く目をつぶる。


トシの頭や背中をぎゅぅってしながら、さすりながら、どうかおれの気持ち伝わりますように、って、ずっと願ってた。

全部、トシのものになりたいって。
それか、全部溶けてしまって、トシのこと、包み込んであげたいって、、、、











《未 完/UNFINISHED》










『夢想と薔薇の日々』リライト!<THE TRANSPACIFIC C.LOVE.R>

『夢想と薔薇の日々(Days of Rêverie and Roses)』は、あくまでもフィクションであり、実在する人物や事件とは一切無関係です。「夢想」は個人が有する自由な権利ですが、現実は現実としてきちんと区別なさったうえでお読みください。くれぐれも混同されないよう、よろしくお願いいたします。尚、当ブログ内の文章や作品の、無断転載・引用・コピーを固くお断りいたします。

脱衣室で、俺はヨシキを待ち構えていた。
シャワーを浴びて出てきた彼を、洗いたての大きいバスタオルでバサッと頭から包む。


「ぎゃ~ッ!」

… あはは、ビックリした?笑ʬʬ

「や~ん、前が見えないよ~!ちょっとぉ!これ取ってよ~!」 

…今日洗ったから気持ちがいいだろー。

「う、…ん、お日さまのにおいして気持ちいいけどぉ。けど動けないってぇ~!」


こういういたずらは大好きだ。
バスタオルの上からヨシキをぎゅーっと抱きしめてる。


「と~し~、おれびしょ濡れなんだけどぉ…ほんとに動けないよ~~~💨」


俺はひとりで楽しんでたけど、いい加減かわいそうになって、かぶせたバスタオルを取ってやった。
それから小さくごめんねって言って、ザッと彼の全身を拭く。


「ありが…と///」


恥ずかしそうに彼が呟く。


…どういたしまして。



ところが、用意していたバスローブを着せようとしたら、彼はもうご機嫌ななめになった。


「それぇ、、、もう着なきゃだめなのぉ~?」

…ダメだよ、風邪引く。

「だって暑いも~ん」

…そういうこと言ってるとまた湯冷めして体調崩すから。


不満げな彼のカオを無視して言う。


…はい、腕通して。

「んんん…」



やっと着るものを着たヨシキは、今度は彼の方からいたずらを仕掛けてきた。
俺の首に腕を回して、離さない。


「だったら抱っこちゃんして♫」

…ヨシキー、こんなところでいつまでもふざけないー。もうおしまいだよー、遊ぶのは。

「ふざけてな~い!」


何故か突然の完璧甘えっ子モード。


…しょうがないなぁ💨


まだ半分濡れた髪のヨシキを、お姫様抱っこしてそのまま寝室へ連れていく。
彼はうれしそうに足をバタつかせた。


…ほれ、つ・い・た・よー!


ベッドにそっと彼をおろした。

けれどやっぱり彼は俺の首に絡ませた腕を離そうとしない。
俺はベッドの上に屈んだまま、 何度かヨシキの名を呼んだ。


…ヨシキ、だめだよ離して。

…ヨシキ。

…ヨーシーキ!


ヨシキは何も言わない。
そのかわりに、彼は手を俺の肩まで下ろしてきて、潤んだ瞳で俺を見つめた。

肩を抱く彼の手が、ひどく熱い。
俺はすぐそこにヨシキの吐息を感じてる。


…ヨシキ、離して。


俺はもう一度言った。


「なんで」

…なんでって…そんなの理由ないよ。

「ねえ、…これ。脱いだらダメ~?」

…だめだったら。

「どうしてぇ?」

…目に毒。


肩にしがみつかれて、ヨシキの体温にぴったり触れて。
そんな状況で、俺の体が徐々にヤバい方向へ反応し始めたって、誰に責める権利があるもんか。


「おれの体、そんな自信なくないよ?💢」


ヨシキがぷくーっとふくれて言う。


…バカ!意味が反対だよ!

「んふふん/////…知ってるも~ん」


途端にそうやって笑うし。


「ねえ……じゃあ脱いでいいでしょ~?」

…だーめだって。ヨシキそれ、わざと挑発してるだろ!

「してる…かもしんなぁい♡」


こういうときの彼独特の高い声が、俺を甘い誘惑の罠にかける。

───どうしよう。何て答えればいい?


俺は迷った。

───なんでそういうカオで見つめるんだよ!もうすでに俺に勝算がないことくらいわかってるだろう!


ヨシキが、とうとう俺の髪に手を伸ばしてきた。
そして物欲しげに軽く引っ張る。


こうなったら、逃げても無駄なんだ。
いつもいつも、そうやって彼のペースに巻き込まれてしまう。


俺は彼の鼻に自分の顔がくっつきそうな距離で、念を押すように訊いた。


…キスだけじゃ、いやなの?せっかくシャワー浴びたのに。

「浴びたから準備OKなんじゃないの?♪」


そう来るか。
もういいや、言ってしまえ!


…したいの?どうしても?

「うん…!どうしても♡」

 
そんなににっこり言われるとなぁ。


…んー、…じゃあ………しよっか。

「うん、する!やった♬」 


彼は両手でピースして見せた。







.。o○.。o○.。o○.。o○







「んんっ…トシ…あッ、そこきもちいぃ…ぃ、背中」

…うん…これは?感じる?

「あぁん!やっ…はぁっんん…トシ!トシは?」

…うん…いい…よ。すっげぇいい。


何だかんだ言ったって、始めてしまえばお互い乗り気になるもので。
やさしくやさしく、ふたりで舐めたり噛んだり…愛撫を続けている。

完全に、お互いがお互いを求めてた。



体じゅうがキスと愛撫でいっぱいになった頃、駄々っ子が要求しだした。


「も、ねぇ、、トシ…欲しいよ…」

…欲しいって…何を。

「いやぁぁあんいじわる~、わかってるでしょぉ」

…わかんないよ。

「自分だってそうなくせに…ズルいよう……いじわるはナシぃ~」

…だぁって。言っとくけど今挿入れたらすぐ終わっちゃうよ?待って。もうちょっと我慢して。

「やぁだぁ~カラダが熱いよ…がまんなんかできないもぉ~ん」

…もうほんのちょっと!今挿入れたらヨシキのカラダもったいない。

「 いいの~!いいから挿入れてよぉぉぉぉ!」


ヨシキがまた『どうしても』とせがむので、俺はあきらめて、ベッドの脇からワセリンのビンを取り出して準備を始めた。

指でとって少し温めて、そっと彼の局部とその周りに塗ってゆく。
こっちに向けられたヨシキの丸々してかわいいお尻と“そこ”が、荒い呼吸と一緒にヒクヒク、って動いてる。

ダメだ、クラクラする。

色っぽくてエロくてたまんない。
もう俺がどうしようもない。


「んん!」「いやぁん」「あんっ!」


ヨシキはいちいち勝手に騒がしい。

まだまだ、“準備中”だぞ。
そんな声出すと、こっちだって盛り上がっちゃうじゃないか。
いつものことだけど、きちんと塗っておかないと挿入れたときに痛いのはキミなんだから。


塗り終わったら、いよいよ、中指から1本ずつ局部に入れてく。


…慣らすよ?指入れる、痛かったら言って?

「はぁ…うん…」


大切なキミだから、ゆっくり、慎重にね。
ヨシキは相変わらず喘いだりわめいたりしてる。


…ヨシキ?痛い?

「ううん、やんっ…き、きもちいい///もっと…し…て…」


彼を喜ばせているあいだ、俺は漠然とあることを考えていた。


…ねえ、ヨシキ?

「な、なに~?…んん~~/////」

…あのさ、いつもっていうか、前からずーっと思ってることなんだけど。訊いていい?

「あ、はい…?なに…はぁっ…ヘンな…質問?」

…いやぁ別にヘンって言うか…あのさ、ヨシキさ、こんなところで…。


言いかけたときだった。


「ああ~~、もうトシ!指何本使ってんのぉ~っ?」

…何本って、…え、今3本…。

「やぁだぁ!もう…ゆ、び、いらなぁ…い!」

「トシ!もっと奥、奥だよう!」

「トシ~トシ!…ホンモノのナマ、トシのおXんちXが欲しいのぉ~~~っっ!!」


あーあーあーあー、仔猫ちゃんが爆発しちゃった。
完全に“突発性発情期”に入ってる。


話の途中だったけど、そういう俺も体じゅうビンビン来ちゃってて、そろそろ挿入れたいかも。
俺は、『くっそ!もうどうにでもなれ!』と、ヒタヒタに緩くなってきているヨシキのそこに、勢いよく身を沈めた。


「ああ──!トシ──────!!!」

…うん、…ヨシキ?入っ…たよ。わか…る?

「いやん、うん、わ、かるぅ…すご、い…い……ん…おれの中さ、…ねえ…いい…?///////」

…ん、メチャクチャいいよ、…安心して。


俺は彼を抱きしめながら、喘ぐヨシキを、やっぱ最高だな、なんて思ったりして。


「トシもっと、、、奥、、奥だったらぁっ!」

…ん、かなり…入れてるよ?ほら、ここ気持ちいいでしょ?

「いやぁぁんもうトシ~~~はぁっ感じる、死んじゃう~!」

…もっと動くけど…大丈夫?続けられる?

「う…ん……早くぅ!」


「はぁ…はぁ…トシ好きぃ…好きってばあ~…」

…俺もヨシキ…好きだよ。…愛してる…誰、よりも…愛…してる。


…あー!ヨシキ、だめだよそんな…ひざ、閉じないで!

「ん…っ」

…ヨシキ聞いて。もっと力、抜くの、脚開いて…くんないと…ね…俺が…早くイッちゃうから…あっ…!ほらぁ!脚閉じないでって! 

「だって…だってキモ…チいいんだ…もん…はぁっんっああ!ホントに死んじゃうよぉぉぉ!」


少しだけ久しぶりの情事は、やけに長く続いたような気がした。




『死んじゃう』を連発していたヨシキは、3ラウンド目で気を失った。
俺はそのときまだイッてなかったのに。
自分で処理してるかわいそうな俺、、、まったく。







.。o○.。o○.。o○.。o○







金髪が寝乱れて、美しく艶めかしい姿のヨシキを、俺は1時間ほどただただぼんやりと眺めていた。
不思議と、彼を見ているのは飽きない。


その堕天使(ヨシキ)が意識を取り戻したのは、日付が変わってからのことだった。 


「…ん……トシどこ…」

…ここだよ。こっち。


宙に伸ばされたヨシキの手を、そっと取って握ってやる。


「んん…あれぇ……ねぇトシ?おれ、天国に行ってたよ…」


寝ぼけた発言がおかしくて、俺は笑ってしまった。


…まだ天国に行くのは早いよヨシキ。俺といたの。…よかった?おぼえてない?

「……う~ん、ああ、そっか~思い出したかも…トシはぁ…ねえホントにすごいねぇ~…」


どういう意味だそれ…?
SEXのテクニックがすごいってこと?

しばらく考えたけど、隣でまだむにゃむにゃ言ってるヨシキの、今の『すごい』にはあんまり深い意味はなさそうだと思って、俺は聞き流すことにした。 

彼の首筋を指で上へなぞってもう一度上から体じゅう抱きしめて、名前を呼ぶ。


…ヨシキ?

「ん~…」

…あのさ。


今度はタイミングをつかんだと思ったのに、さっき途中でやめた話は、またも堕天使に遮られた。


「ねぇ~キス、してぇ?」

…え、キス?…うーん、ちょっとだけだよ?


乗っちゃう俺も俺だけど、ヨシキはキスが大好きだから仕方ない。


「う…んん」

…もういい?

「んん…足りないけどぉぉ」

…もうカンベンしてよ。


…あのね、ヨシキ。ひとつどうしてもね、ヨシキに訊きたいことが…あるんだよ。まじめな質問。

「なあにぃ?」


ヨシキは俺の髪で遊びながら、かわいらしく返事をした。
やっと聞く気になったか。

俺は彼の体を抱いたままで続けた。


…ヨシキってさ。

「うん?」

…こんなところに来ちゃって…後悔することないの?

「こんなところぉ?・・ってここの家~?」

…うん。


「ないよ??」 


彼はあっけらかんと答えた。


…だって。“向こう”じゃけっこうな生活してたんだろ?そういう世界はどうなっちゃったわけ?

「へ?・・・あは、そ~んなのぉ!」



ヨシキはそこで一旦区切って、俺の頭を抱えて胸元に引き寄せた。
そして、くしゃくしゃっと笑って続けた。



「そんなのはぁ~、み~んな太平洋にばらまいて捨ててきた!!」

…太平洋?????

「うん!だってさ~?トシとこうゆうことできる方が何億倍もしあわせだもん!」


こ、こうゆうこと、って。


「あのね?じゃあ聞いて。」

…うん。聴いてるよ。


ヨシキはまだ俺の髪で遊んでる。


「あのね、おれね~。ここに来てぇ~、トシと暮らしてるでしょう?」

…うん。

「そんでさぁ~、んと。トシ信じるか、わかんないけどぉ。おれ生まれて初めて、四つ葉のクローバーね、みつけたんだよ」


…は?四つ葉のクローバー???


「うん!ずっとずっとさぁ、ず~っと、さがしてたのにみつかんなくって…ホントちっちゃな頃から必死だったのに…」

…??

「でもこうやってね、やっと、トシといっしょに生きれて、そんでやっと、みつかったの。四つ葉のクローバー!だから、おれしあわせ……にゃはははは…」


ふにゃふにゃの笑顔は、今にも泣き出しそうだった。





───四つ葉のクローバー、って。






「ねね、もっかいチュ~して?」

…え、…うん。


俺は黙って彼に口づけた。
───こうやって、伝わっていくんだろうか、俺の、気持ちも。



太平洋の向こうの生活より、俺との“ごくごく普通”の生活を『しあわせ』だと言ってくれたヨシキ。
そんな彼に、俺は一言も返せなかった。







それから。
365日の中でいちばん短い夜を、俺とヨシキはとてもエロティックに、ロマンティックに過ごした。

キスして抱き合ってやさしい会話をして、また、キスして抱き合って────。


自分が相手に溶け込んでしまわないのが不思議なくらい、ふたりのあいだに愛があふれて、そしてこぼれ落ちていた。









*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:









もし、ヨシキがここへ来て。



生まれて初めて

四つ葉のクローバーをみつけたのならば。



それはヨシキだけじゃない。



今、こうして彼を抱きしめている

俺も、きっと、そうなんだ──────。



 
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《END》

どうもありがとうございました💜
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夢想と薔薇の日々<TURN TO THE NIGHT OF LOVERS>

『夢想と薔薇の日々(Days of Rêverie and Roses)』は、あくまでもフィクションであり、実在する人物や事件とは一切無関係です。「夢想」は個人が有する自由な権利ですが、現実は現実としてきちんと区別なさったうえでお読みください。くれぐれも混同されないよう、よろしくお願いいたします。尚、当ブログ内の文章や作品の、無断転載・引用・コピーを固くお断りいたします。

夏至2021SP

今夜も、また。
楔を、打ち込む。

彼の躰の深く、深くまで。

そう、いつものように。
彼の望みのままに。


ああ…俺は、 ヨシキ の中で 深海 うみ を泳ぐんだ────。








「………っ!


ヨシキの叫びは声にならない。
俺が最奥を突くと、彼は、その身をビクン…!と震わせた。


両胸に、紅みを帯びて立ち上がる乳頭。
激しく、熱く喘ぐ呼吸。

彼の局部も、すでに極限状態にまでそそり起ち、その先端は白濁した露で濡れていた。


俺は思い切って、掴んでいたヨシキの太股を高く持ち上げ、更に強引に左右へ押し開いた。
そしてくり返し、彼の体内を突いた。


「あ!あああっ。」


今度ははっきりと声が響く。


…ヨシキ。ここ、感じる?


そう訊ねておきながら、俺は自分が果ててしまわないようにするのに懸命なのだった。


「あ、も、イく……っ、イきたい、トシっ!」


ヨシキは激しく身をよじった。


「んん!もう…ッ、出…ちゃう……っ」

「イき、たい……ってば!」

「あ…あ……あっ、トシぃ……ッ」


彼の声は悲鳴にも近かった。
甘く響くヨシキのその“嘆願”は、俺の理性を完全に奪い去った。

本能の牙の欲するままに、俺はヨシキの躰を貪り喰う。
世界じゅうどこを探したって、この脳天まで つんざ くような興奮を俺に与えてくれる者は、ヨシキしかいない。
あらゆる意味において、このひとは俺にとって唯一絶対だった。


…よし。ふたりで、行こうぜ。

「は……やく、、、」


深紅に染まったヨシキの唇の動きが、俺を急かす。
彼の表情は、快楽に さいな まれた者の、肉体と精神の象徴そのものだった。
俺を見つめる潤んだ瞳が、愛情以上の、どこか哀しみさえ含んでいて。


それは、見惚れてしまうほどに美しい光景だった。








.。o○.。o○.。o○.。o○








「トシ、汗すご〜い☆」

…えー?あー。。


ヨシキに言われて気付いた。
びっしょり汗をかいてしまっていた。
室温は高くないのに。


…気持ち悪い?

「え、何が?・・・汗??」

…うん。

「まさか全然!…だって、、」


そこで恥ずかしげに肩をすくめてから、ヨシキは言葉を紡いだ。


「だって、おれのために一生懸命になってくれてるトシって、おれ好きだよ///」


別に、ヨシキのためだけに一生懸命な訳ではなかったけれど。
まぁいい。


…うん、もうメチャクチャ必死。


ふざけて笑いながら抱きついたら、彼は、あはは、とうれしそうにはしゃいだ。








.。o○.。o○.。o○.。o○








何度、ふたりで絶頂を味わい尽くしたろう。
目が覚めたとき、ヨシキの躰の上にいた。
彼に覆い被さったまま、俺は意識を失っていたらしい。


…おっと、、ごめん!


あわてて身体を退かそうとすると、彼はやんわり俺を制した。


「だいじょぶだよ」

…ん。そう?

「ふふ/// うん、いいから」

…退くよ、重いでしょ。

「ん〜ん、気持ちいい♡」

…気持ちいい!?

「うん、トシの重みがね」

…ほんとに?

「ほんと♡」




ヨシキが手を伸ばしてきたので、俺はその手を握ってやった。


…起きてたの?ずっと。

「うん」

…俺どのくらい寝てた?ごめんね。

「20分くらいかな?謝ることないじゃん」


ヨシキは俺の手へ顔を擦り付けると、そこに小さく口づけた。
そして俺をまっすぐに見上げて、悪戯っぽくくしゃくしゃっと笑った。

その眼を見た俺は、何故か胸を締め付けられる。


…ヨシキ。

「はい?♬」

…好きだよ。


ごまかすみたいに、ぽつりと言ってみるけれど。


「うん。おれも、好きだよ///」


彼の顔はピンク色に上気していた。

ヨシキの『おれも、好きだよ』は、俺の「好きだよ」とは違う。
ごまかしでもなければ何の照れ隠しでもない。
ただ、直球ストレートの愛情表現だ。
だからこそ、またそれが俺を気まずくさせる。

でも、そんなことに気付きもしないのだ、このひとは。


俺がどんなに、方便で「好きだよ」や「愛してる」を重ねたとしたって、ヨシキのたった一度の『好きだよ』には敵わない。

一生、永久に─────。










頑張るからもう一回やらせて。


ヨシキの耳元で囁いた。
短い沈黙のあと、彼は、いいよ、と言ってはにかんだ。



靭やかな鞭のように、ヨシキの腕が俺の背中にぴったりと回される。
その肌の温みを確かめてから、俺は再び、彼の体内へと身を沈めにかかるのだった。










誕生日を数日後に控えた、ある夜の話だ。

無邪気なだけの幼なじみには、もう決して戻れないことを、俺たちはとうの昔に知っている。





















夏至2021SP

《END》

💐💐💐Happy Birthday!!💐💐💐

どうもありがとうございました😃




夢想と薔薇の日々 第二部 完

夢想と薔薇の日々<日々徒然>6月6日号

『夢想と薔薇の日々(Days of Rêverie and Roses)』は、あくまでもフィクションであり、実在する人物や事件とは一切無関係です。「夢想」は個人が有する自由な権利ですが、現実は現実としてきちんと区別なさったうえでお読みください。くれぐれも混同されないよう、よろしくお願いいたします。尚、当ブログ内の文章や作品の、無断転載・引用・コピーを固くお断りいたします。

雨が降ってる。
ゆうべからずっと。

トシに抱かれて…眠った夜。

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腰が、痛い。


寝乱れたままのベッド………
なんかやらしい。



「トシ、もう起きたんだ…」



今日みたいな朝は、そばにいてほしかったな。
一日じゅうふたりで抱き合っていたい。


もいちど、チューしてよ。

名前、呼んで?




トシ。
トシ。
おれの。


誰にもあげない。





こんなに、こんなに、大好きだよ。


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《END》

どうもありがとうございます☔✨
バナーTOSHI1



夢想と薔薇の日々<日々徒然>5月27日号

『夢想と薔薇の日々(Days of Rêverie and Roses)』は、あくまでもフィクションであり、実在する人物や事件とは一切無関係です。「夢想」は個人が有する自由な権利ですが、現実は現実としてきちんと区別なさったうえでお読みください。くれぐれも混同されないよう、よろしくお願いいたします。尚、当ブログ内の文章や作品の、無断転載・引用・コピーを固くお断りいたします。

背中から抱かれてて、いよいよ挿入ってときに……

なんか。
ふり向いちゃったんだよね勢いで。


…ん。何。

「いやあの、別にっ

…淋しいの?『チュー』してあげよか??





ずるいと思う、こんなイレギュラー。

こんな、やさしい声されたら、本気で甘えたくなっちゃうじゃん…………、、、


<日々徒然>






《END》
いつもどうもありがとうございます
バナー8
これイレギュラーなのか彼氏さんw




夢想と薔薇の日々<花 酔>

『夢想と薔薇の日々(Days of Rêverie and Roses)』は、あくまでもフィクションであり、実在する人物や事件とは一切無関係です。「夢想」は個人が有する自由な権利ですが、現実は現実としてきちんと区別なさったうえでお読みください。くれぐれも混同されないよう、よろしくお願いいたします。尚、当ブログ内の文章や作品の、無断転載・引用・コピーを固くお断りいたします。

<花 酔>

それが何処なのか、今も、わからない。

桜の花が咲き乱れ、柔らかな光が差し込むその場所で、おれはトシに抱かれていた。
奇妙なことに、トシは一言も口をきかず、ただ一心不乱におれの体を貪り続けている。


「トシ…」

「トシ…トシ……!


トシを抱き締めたくて、おれは何度も、叫んだ。
でも、求めても、求めても、何故か彼の輪郭は曖昧にぼやけて、掴むことができない。

ひたすら、彼の熱の塊が、体の中心を深く突き刺しては貫いていく感覚だけが、激しい快感と強い痛みになって、くり返し押し寄せた。

おれは、トシの向こうの霞んだ空に手を伸ばす。



ああ。

花びらが、散ってゆく。

舞って。
舞って。
舞って。

花に埋もれて、息ができない──────。




───『トシ……愛してるよ。』

そう、例え何処にいても。




















気付いたら、ひとり古い桜の樹を見上げていた。

───え?



「いけない、おれ、買い物の途中、、、」


頬に流れる涙を、あわててゴシゴシ拭う。
見上げていたその桜の大樹は、まだ花を散らすことなく、そして何を語るでもなく、静かにそこに立っていた。






… ヨシキ、どうしたの?大丈夫?


突然トシから電話が入った。
おれの帰りが遅いのを心配していたのだろう。
そんな声だった。


「なんでもないよ、ごめんね」

… 無事ならいいけどさ。

「大丈夫、無事無事!」


自分でも驚くほど、陽気に答えていた。
思わぬときにトシの声を聴けたことが、心底嬉しかった。








『トシに、逢いたい。』








即座に、おれは駆け出した。
まっすぐ、“我が家”に向かって。
大好きな 恋人 ひと )が待っているあの家。

おれが帰るべき、たったひとつの、あの場所へ。







桜の樹に見た幻は、記憶の奥底に紛れて、きっとすぐに消え失せてしまうだろう。





















《END》

🌸いつもありがとうございます🌸💕
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【突発】夢想と薔薇の日々<日々徒然>1月24日号

『夢想と薔薇の日々(Days of Rêverie and Roses)』は、あくまでもフィクションであり、実在する人物や事件とは一切無関係です。「夢想」は個人が有する自由な権利ですが、現実は現実としてきちんと区別なさったうえでお読みください。くれぐれも混同されないよう、よろしくお願いいたします。尚、当ブログ内の文章や作品の、無断転載・引用・コピーを固くお断りいたします。

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聴いたことのない、スローテンポできれいな音楽が流れてる寝室で目を覚ました。

一年でいちばん寒い時季の朝。
夜中から雨が降り続いてる。
カーテンは開いてるけど、それでも薄暗い。

トシがストーブを点けておいてくれたおかげで、部屋はあったかかった。
トシはすでに下に降りてて、きっと朝ごはんの支度をしてる。

体が重だるいのは、昨夜 彼と寝たから─────。




· · • • • ✤ • • • · ·




おれは、まだ寝ぼけた頭のまま、う〜ん…と伸びをした。


「この音楽、何だろ、キモチいい・・・」


なんていうのか、穏やかで落ち着く、不思議な感覚。
むき出しの腕を伸ばして、ガサゴソ音源を探すと、枕元に置いてあるタブレットに行き当たった。

タブレットをつかんで、よく表示を見たら、「『ラスト○ター』オリジナルサウンドトラック」って書いてあった。
トシがセットしていったんだと思う。

───これって。岩○俊二の監督作品だよね?


「トシ、観たのかな、、、」


気になって、呟いてしまう。

『いつ?』
『誰と?
『ひとりで?』
『どこで?』

───おれは知らないのに。

胸に湧き上がってきてしまった、思わぬモヤモヤ。
トシに問いただしたい衝動に駆られる。


だけど。

それ以上に、曲がやさしくて素敵だったし。
これをおれのために流しておいてくれた、トシの気持ちが心に沁みて来すぎて。
やっぱりトシの、その気持ちがうれしかったから。


下に行って、トシに逢ったら、「ありがとう♡」って笑顔で言おう。
トシ、抱きしめてくれるかな……♬♪


<日々徒然>1月26日号





《END》
どうもありがとうございました🌈✨
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『夢想と薔薇の日々』リバイバル!<One Love>

ほんっと~に唐突ですが。

いつかはリバイバルに持ってこないとな~と思っていて、なかなかできなかった作品です。

昨夜ね、理由もなくすごく落ち込んでしまって。
でもこのお話を読んだら不思議と元気が出てきたので、ああ今がチャンスだ、と。
今回は、簡単にフォームだけ変えてお届けします。
今だったらこんな書き方はしないなと思うところも多々あるんだけどね。

だいたいトシはヨシキに何をしたんだという恐ろしい謎が(((^^;)
スルーしてください。

<One Love> 
『夢想と薔薇の日々 (Days of Rêverie and Roses)』は、あくまでもフィクションであり、実在する人物や事件とは一切無関係です。「夢想」は個人が有する自由な権利ですが、現実は現実としてきちんと区別なさったうえでお読みください。くれぐれも混同されないよう、よろしくお願いいたします。尚、当ブログ内の文章や作品の、無断転載・引用・コピーを固くお断りいたします。


One Love

2時ちょい前に部屋へ行ったらトシが寝てて…てか寝てるのは別に当たり前なんだけど、ベッドの…壁側に寝てて。

じゃましないように、おれは手前にすべりこんでトシの枕に頬をうずめると、不思議な気持ちで隣のトシを見てた。
そしたら、じっとしてたのにいきなりトシが目を開けた。
ビックリして、


「あ!起こしちゃって、ごめんね!」


ってあわてて言った。

トシは、


…ううん、眠ってはいなかったよ。


って、答えた。


「なんで、、トシおれんとこに寝てるの?」

…うん?…んー、ヨシキを。。。抱いてるような気に…なれる気がして。

「なんだぁそんなの~!本物がいるんだから抱けばいいじゃん?☆」


おれがちょっとうれしくてワクワクしながら言ったら、トシはさみしげに微笑って、低い声で言った。


…駄目。ひどい扱い方しちゃう。




“ひどい扱い方”って言葉に、胸がドキッとした。
トシの言ってるその意味は、想像できた。
───何度も…あったから。

でも、どうして“あれ”が必要なんだろう…。
もしかして──。


「トシ?」

…ん。

「だいじょうぶ?」


なんとなく、訊いてみた。


…何が?

「仕事で何か悩みとか、あるんじゃないの…?」


そしたらトシはこう答えた。


…それは…あると言ったらあるし。ないと言ったら、ないし。でもどっちにしたってヨシキに話すことじゃない。

「そんな…けどさ、けど、ふたりで暮らしてるんだよ?」


言葉にするのは、とっても苦手だ。
こういうのは、プロのトシにはかなわない。
それでもトシが心配だった。
絶対、なんかあるんだ。


仕事の関係で、こういう隠し方されるのは、おれすごくつらかった。
生きてる世界が全然違うからなのかなって、思っちゃうでしょ。

おれ、無意識に手を伸ばして、トシの手を握ってあげようとしたの。

でも、そのときトシが、


…触らなくていいから!


って言っておれの手をはね退けて……あ!って、思った。


「ご、ごめんなさい…っ」

…いや、ごめん。俺の方がごめんね。


こんなトシは、おれ…きらい。
こんなの…おれのトシじゃない───。


“ひどい扱い方”──、どうしよう、どうしよう、って、すごく迷った。

でもおれは言わずにいらんなかった。


「トシ…?」

…何。

「だ、いて…いい、よ?」


覚悟して言った言葉だったのに、自分でも信じられないほど弱々しい声にしかならなかった。
こわかった。


…やめとけよ。中途半端な同情されたくない。

「違うよ。同情なんかじゃないよ…トシのこと好きだから。おれができることしたいだけ。いっしょに、乗り越えていきたいだけ!」


精一杯、言ったつもりだった。


…だから。ヨシキは関係ないって言ってるだろ。

「関係ないことない。だって…だって、……」



またいつもと同んなじで、伝えたい想いはあふれるほどあるのにうまく言葉にならなくて。


天井を見上げて、トシが言った。


…だっても何も…どうなるか、あと俺責任持たないよ?

「わかってる。トシの好きなようにしてくれればおれはそれでいいよ。だから…」


こんな、傷だらけみたいなトシ、…見たくない。


「だから──、ねえもうそんな遠くにいないでそばに来てよぅ」


『ねえ』からは一気に泣き崩れてた。


…馬鹿だね、ヨシキは。

「ばかでもいいもん、好きなように抱きなよ!」


どんどん涙がこみ上げてきて、どうやっても止めらんなかった。








気付いたら、トシの熱い体温と激しい力に包まれてた。
泣いててうまく息ができなかったけど、必死でトシのキスについていこうって頑張ってた。


あとは……、もう、何がどうつらくても、絶対に「痛い」とか「いや」って言わないこと。

何されても、何をさせられても、「痛い」と「いや」のかわりに、百万回くらい「トシ」と「好き」と「愛してる」をくり返した。



全部、全部全部全部、…いやなこと全部、おれにぶつけてくれたらいい、そんで、全部、忘れてくれたらいい。

本気でそう願ってた。




おれにできたのは、それだけだった。
それでも、足りなかった。



だって…今までおれの知らないとこで頑張って、痛いのやつらいのをがまんしてきたのは、トシなんだもん───…。




...I WANNA EASE 

YOUR PAIN AND SORROW 

ETERNALLY......







.。o○.。o○.。o○.。o○







───ん…、終わった…のかな?




目が覚めたとき、自分がエクスタシーを迎えたのかどうかすらわかんなかった。

それくらい、うつぶせになってるからだじゅうがヒリヒリして痛くて、動けなかった。
あそこが…切れて出血してるのも、感じてた。


もう、トシの体温はどこにも残ってない。

だけど、トシの声が、ベッドの隅のどっかで小さく響いた。


…ごめん。


トシのその言葉に、ほんとは、笑ってあげたかったんだけど、頭を持ち上げる力がなかった。
なんとか、かすれた声をふりしぼって答えた。


「『ごめん』、じゃなくって…、、、『ありがとう』の方が、、、うれ…しい…」


そしたらトシが、ほんのちょっと間をおいて、静かに言った。


…じゃあ…『ありがと』。

「…うん……」



トシがベッドから立ち上がるのがわかって、そのあとドアがぴったり閉まった。
部屋は、おれひとりになった。





おれは……、おれの頭のなかは、もうほんとに、ひとつのことでいっぱいだった。
さっきまでとは別の涙で、胸が張り裂けそうだった。


「好き」 
「好き」
「あのひとが好き」
「あのひとを愛してる」
「愛してる」
「愛してる」
「愛してる…」


泣きながら、こんなに痛くてこんなに弱い自分がくやしくて、湿ったシーツを握りしめてた。

もっともっと、強くなりたかった。








この道がどんなに遠くても、未来がどんなに苦しくても、トシのことは必ず、おれが守ってみせるから─────。
















《END》(2013年6月11日に初掲載)
ありがとうございました(*´꒳`*)🌹·˖✶
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夢想と薔薇の日々<日々徒然>9月22日号

『夢想と薔薇の日々 (Days of Rêverie and Roses)』は、あくまでもフィクションであり、実在する人物や事件とは一切無関係です。「夢想」は個人が有する自由な権利ですが、現実は現実としてきちんと区別なさったうえでお読みください。くれぐれも混同されないよう、よろしくお願いいたします。尚、当ブログ内の文章や作品の、無断転載・引用・コピーを固くお断りいたします。

今日ね。
さっき。

酔った勢いでばーん!って押し倒されたの。
夜ごはんの途中だったから、当然っていうかなんていうか食卓のすぐ脇で。


「痛…っ!」


トシが酔っ払ってて、も~何言ってんだか訳わかんないんだよ。
でもとにかくやたらめったらチューしてくるから


「口ん中まだゴハン入ってるよおっ!」


とかって。
全然、かまいもしないんだけどね、彼。


「この酔っ払い~!💦」

「ばっか…ッ!」

「…んないきなり、むりだよぉ~!💦💦💦」


でもそうやって抵抗しつつも流されてくうちに、おれ、ヤバいことに気付いちゃった。


今まで何度かあったし、ついこないだもだったけど───。
ベッドじゃない場所でするのって、案外スキかもwww



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《END》

✳️一言後コメント✳️
ヨシキがトシのことを「彼」と呼ぶのは、なんとなんと、今回が初🔰です。
㊗️おめでとうございま~す

どうもありがとうございました
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次回はいつになるかなぁ







夢想と薔薇の日々<廻りゆく季節 ~晩夏・初秋 reverse~>

『夢想と薔薇の日々 (Days of Rêverie and Roses)』は、あくまでもフィクションであり、実在する人物や事件とは一切無関係です。「夢想」は個人が有する自由な権利ですが、現実は現実としてきちんと区別なさったうえでお読みください。くれぐれも混同されないよう、よろしくお願いいたします。尚、当ブログ内の文章や作品の、無断転載・引用・コピーを固くお断りいたします。

後ろからいきなり頬を撫でられて、飛び上がるくらい驚いた。


…Σ ヨシキ!?

「あんまりボーッとしてるからさ~☆」


きゃっきゃっとヨシキは笑った。

ダイニングのテーブルに肘をついたまま、俺はどうやら物思いに耽っていたみたいだ。


「ね~ね~、終わっちゃったね、夏」

…まだたまに、蝉が鳴くぞ。

「うん……、けど。逝ったんだよ」

…ん?行った?誰が?どこへ?


意味がわからず軽い気持ちで訊いたのに、ヨシキは次の3つの言葉をひとつずつ区切って、ゆっくりと発した。
俺に言い聞かせるように。


「トシ。夏が、逝ったんだよ。


どきっとした。
胸に、一気にもやもやしたものが満ちた。


「トシがいつも言うじゃない。8月の終わりに夏が逝くんだって」


ついさっきまでと一転して、彼の顔は暗かった。


「なんかおれ、つまんない。トシもここんところ、いっつもそんなだし」

…いっつも、じゃないでしょー!


それには直接答えずに、ヨシキは言った。


「8月が終わらなければ、よかったのにね…」


俺の横に立っていたヨシキは、俺の髪にすーっと指を通すと、背中で頼りなげにそれを引っ張った。

どうしよう。
ヨシキの元気がない。


…大丈夫だよ、ヨシキ。だいじょうぶ。


とっさに、俺はヨシキの手を取って、彼を抱き寄せていた。
そして、下から彼の顔を見上げて、くり返した。


…大丈夫だよ。

「けどトシ、この時期毎年そうなるもん。。。」

…ごめん、ヨシキの当たり。確かに最近ふらふらしてたかも。夏の終わり、弱いんだ。


ヨシキの細い、骨の出た腰を、ぎゅっと抱く。
ヨシキは悲しそうに俺の顔を覗き込んだ。


…泣かないの。

「だって。トシが」

…大丈夫。平気だよ。秋には秋の、楽しいことがいっぱいある。楽しみにしててごらん。

「そんなこと、真面目に思ってる…?」

…真面目に?思ってるよ。楽しい秋が来る。だから、お願い、笑って。


彼のお尻を軽く、ポンポンと叩く。


…ヨシキ。楽しい秋を保証する!


俺がそう言って微笑んだからか、彼の表情もやっとほころんだ。


「よかった、信じる♪」


ヨシキの顔に穏やかな笑みが戻って、実際に安心したのは俺の方だった。


「ねぇ」

…うん?

「なんかさ~あ、ふたりでいつもと言うことが逆じゃな~い?」


ヨシキはおかしそうに笑った。

ちゃんと、ヨシキらしいヨシキだ。
もう心配もいらないだろう。


…ふふ、そうだね。

「トシがいけないんだ~」

…なんで?ヨシキのことかまわないから?

「自覚あるんじゃん。ひどぉ~い/////」

…ひどいって💦じゃあ真っ昼間からヤる?

「そんな気ないくせに…」

…え、あるよ、大ありですよ?♡

「まじ?んじゃ、本気見せてよ」

…いいの?☆


すでに、冗談とも真剣な話ともつかない展開になっていた。

俺は立ち上がって、唇でヨシキの口を塞いだ。


「んん、、っ」

…本気、見せるよ。

「う…そ……」


足元をすくって、一息にその場でヨシキを押し倒した。


「あ…っ」

…ちょっと床、痛いかもだけど、我慢してね。

「トシ!

…何?やめるなら今のうちだよ?


ヨシキがごくんと唾を飲む。


「トシ……あの。」

…ほんとに。今ならやめれるから。

「や…めない……」


呼吸が昂って、肩が上下している。
怖いのかも、しれない。


…ここで、ヤるんだよ?後悔しないね?

「しないよ!ねぇ、楽しい秋になるんでしょう…」

…そうだよ。

「だったら今やめたりして、おれのこと、不幸にしないで…/////」


彼は、また泣き出しそうな顔をした。


…不幸になんて、しない。


深く、丁寧に、キスをする。


…ヨシキ。

「ん…」

…好きだよ。

「うん」

…大好きだよ。

「うん」

…ずっと、ずっと、好きだ、、、


彼のジーンズのボタンに手をかけ、Tシャツも乱暴にめくり上げた。


彼の名前を呼び続ける。
狂おしいほどに。



────ヨシキ、好きだ。…ヨシキ、ヨシキ。聞こえてるか?俺の声は、届いてるか………?









名残りのヒグラシたちが、その生の証を刻むかのように、今日も一斉に鳴いている。














━─━─━─━─━─


愛しているよ…



これから

例え 数えきれぬほどの季節が

廻り 過ぎ去っていっても……



<廻りゆく季節 ~晩夏・初秋 reverse~>




《END》

関連リンク🔗


🍠ステキな秋にしましょうね🌰
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どうもありがとうございました💜






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