…っ痛!いってぇッ。
左の脇腹にヨシキのひざがドカッと当たって目が覚めた。
…ったくもう何だよ!寝相悪いなぁ!
と彼を見たら、バスローブが開(はだ)けて、肩からヘソまであらわになってる。
この真夜中に、幼稚なカオとその色気を曝してオレにどうしろって言うんだ。
…ヨシキ、キスしちゃうよ?全部脱がしちゃうから。
なぁんて、ただの冗談で。
本気でこの“堕天使”の寝込みを襲うだけの気力はなく、言葉の上っ面だけが虚しく響く。
――ヨシキの胸から腹にかけて、手の甲でゆっくりなぞってみる。
隅々まで知ってる、他人の体。
ほんの僅かに汗ばんで、静かに呼吸を繰り返す肌が、急になまめかしく思えた。
その刹那、経験したことのない感覚に襲われた。
ふたりでいるのに、ここには自分独りなのだという途方もない孤独感―…それは、否定しても否定しても消せるものではなく。
…よしき…?
説明がつかなかった。
異様なほど人恋しくて…目の前のこの肌と、今、すぐに、ひとつになってしまいたかった。
…ヨシキずるいよ…。
起こしたのヨシキじゃん…なのになんでオレだけこんな想い―…。
オレは、どうしちゃったんだろう?
自分のその感情に名前をつけることもできずに。
オレの心はただただどうしようもないほどヨシキに依存していた。
このひとに。
この肌に。
優しくされたいと、思った。
抱きしめてほしいと、思った。
このひとの腕の中で、思いっ切り泣きたかった。
このひとを、愛していると、思った。
…ヨシキ。ヨシキ―…。
無造作に、無邪気に、投げ出された手。
そこにオレは、恐る恐る自分の手を重ねる。
それから…彼の胸に、耳を寄せた、ひどく、緊張…していた。
自分に、戸惑っていた。
トクン…トクン…トクン…
ヨシキの鼓動、正確な時の刻み。
押し寄せては心を満たしてくれる、この安心感は、…何だろう。
――ヨシキ…こんなオレは、間違ってるか…?
彼の体に寄り添って、自分の身を全て委ねてしまいながら、オレはいつしか眠りに落ちていた。
あふれ出す涙にさえ、気付かないまま―…。
《END》
左の脇腹にヨシキのひざがドカッと当たって目が覚めた。
…ったくもう何だよ!寝相悪いなぁ!
と彼を見たら、バスローブが開(はだ)けて、肩からヘソまであらわになってる。
この真夜中に、幼稚なカオとその色気を曝してオレにどうしろって言うんだ。
…ヨシキ、キスしちゃうよ?全部脱がしちゃうから。
なぁんて、ただの冗談で。
本気でこの“堕天使”の寝込みを襲うだけの気力はなく、言葉の上っ面だけが虚しく響く。
――ヨシキの胸から腹にかけて、手の甲でゆっくりなぞってみる。
隅々まで知ってる、他人の体。
ほんの僅かに汗ばんで、静かに呼吸を繰り返す肌が、急になまめかしく思えた。
その刹那、経験したことのない感覚に襲われた。
ふたりでいるのに、ここには自分独りなのだという途方もない孤独感―…それは、否定しても否定しても消せるものではなく。
…よしき…?
説明がつかなかった。
異様なほど人恋しくて…目の前のこの肌と、今、すぐに、ひとつになってしまいたかった。
…ヨシキずるいよ…。
起こしたのヨシキじゃん…なのになんでオレだけこんな想い―…。
オレは、どうしちゃったんだろう?
自分のその感情に名前をつけることもできずに。
オレの心はただただどうしようもないほどヨシキに依存していた。
このひとに。
この肌に。
優しくされたいと、思った。
抱きしめてほしいと、思った。
このひとの腕の中で、思いっ切り泣きたかった。
このひとを、愛していると、思った。
…ヨシキ。ヨシキ―…。
無造作に、無邪気に、投げ出された手。
そこにオレは、恐る恐る自分の手を重ねる。
それから…彼の胸に、耳を寄せた、ひどく、緊張…していた。
自分に、戸惑っていた。
トクン…トクン…トクン…
ヨシキの鼓動、正確な時の刻み。
押し寄せては心を満たしてくれる、この安心感は、…何だろう。
――ヨシキ…こんなオレは、間違ってるか…?
彼の体に寄り添って、自分の身を全て委ねてしまいながら、オレはいつしか眠りに落ちていた。
あふれ出す涙にさえ、気付かないまま―…。
《END》